映画評「最後の本塁打」

 原題「THE BUSHER」 製作国アメリ
 トマス・H・インス・コーポレーション製作 パラマウント配給
 製作トマス・H・インス 出演チャールズ・レイ

 田舎町の草野球で活躍しているベンは、偶然からメジャー・リーグに誘われるが、活躍できずにクビになる。田舎に戻ったベンは、町のプライドをかけた試合で活躍して、再びメジャー・リーグのチャンスをつかむ。

 野球をテーマとした作品だが、田舎町の楽しい雰囲気が伝わってくる作品でもある。野球と田舎町のどちらがメインというわけではない。2つは一体の存在として、都会の生活にはない、アメリカニズムの象徴として描かれているかのようだ。

 1時間弱の中に、ベンの挫折と活躍、ベンと恋人の恋愛、ベンと父親との愛情、ベンに自分たちのプライドを投影する町の人々といった様々な要素が詰め込まれている。田舎町の様子はよく伝わってくるものの、それ以外の部分は、中途半端な印象も受ける。だが、今後作られていくアメリカの田舎町を描いた作品に共通する要素(都会との比較、一体感など)が見られるという点で、雛形とも言える作品と言えるだろう。

 この作品からは、アメリカの野球に対する特別な思いが伝わってくる。