ピックフェア ハリウッドを代表するカップル

 ようやく基礎が築かれたハリウッドでは、映画の都ハリウッドへの転換を象徴するような出来事が起こっている。それは、2人の大スター、ダグラス・フェアバンクスとメアリー・ピックフォードの結婚である。2人はハリウッド西方のビヴァリー・ヒルズに住んだ最初の映画スターだったという。当時のビヴァリーヒルズはまだ開発が進んでおらず、雑木林が生い茂り、夜になるとコヨーテがゴミをあさりにきたと言われている。

 「ピックフェア」と呼ばれた2人の結婚生活は、ハリウッドを代表する結婚生活として世間に知られていくことになる一方で、2人がともに離婚を経ての結婚であったため、不道徳だという批判も上がったのだった。

 ピックフェアは、ハリウッドを代表するカップルとなった。アレグザンダー・ウォーカーは、「スターダム」の中で次のように書いている。

 「ダグとメアリーはアメリカを訪れる王族やそれに準ずる要人の公式訪問の“安全”な対象であった。清潔で大衆的で、しかも儲かる彼らの映画は、映画産業のイメージを輝かしく見せていた」

スターダム―ハリウッド現象の光と影

スターダム―ハリウッド現象の光と影