D・W・グリフィスの失敗作 「渇仰の舞姫」「愛の花」

 巨匠D・W・グリフィスは「渇仰の舞姫」(1920)と「愛の花」(1920)を監督している。

 「渇仰の舞姫」はリチャード・バーセルメス主演の作品である。酔っ払いと牧師がバハマで混血娘と恋に落ちる物語だった。「愛の花」もバーセルメス主演で、ヒロイン役にキャロル・デンプスターが起用された作品である。殺人を犯して南海に逃げた女性の娘と、追ってきた青年が恋に落ちるという物語だった。

 この2作は共にフロリダで製作された作品だが、助手が演出したという説もあるほどの失敗作となり、赤字を出していた。D・W・グリフィスは苦境に陥っていた。資金的に行き詰まり、かつてのような高額な製作費を必要とする題材には手をつけられなくなっていた。自身のスタジオのスタッフに休んでもらうこともしばしばあった。