スウェーデン カール・ドライヤーの「牧師の未亡人」

 デンマーク映画界の衰退のために外国で映画を製作せざるを得なかったカール・ドライヤーは、喜劇的な「牧師の未亡人」(1920)をスウェーデン映画として監督している。

 若い僧侶が職を求めて放浪中に、ある町で牧師の職があるのを知る。だが職を得るためには、前任の牧師の未亡人と結婚する必要があった。僧侶は結婚するが、未亡人が老婆だったことから、村人から嘲りを受ける。牧師は彼女を殺そうとまで考えるが、老婆が自ら早く死のうとしていることを知り、改心して尽くす。ノルウェーに長期ロケを行って作られた作品で、生きた化石のような農民生活が克明に描写されているという。