映画評「FRESH START」

 製作国アメリ
 アストラ・フィルム製作 エデュケーショナル・フィルム・エクスチェンジス配給
 監督・製作ジャック・ホワイト 出演リジェ・コンレイ、ジミー・アダムス

 リジェとジミーの2人組は刑務所から出所するも、早速看守から盗みを働き、追いかけられる。その後、ナイトクラブで働くようになった2人は、クラブのマドンナの争奪戦を繰り広げる。

 内容的にはキーストン社によるスラップスティック映画初期を思い起こさせる。始まって早々に始まる追っかけ、恋の鞘当てに警官らが加わるドタバタなど、多くのサイレント時代の短編コメディで見てきたものだ。

 とはいえ、様々な工夫も行われている。冒頭での追っかけでは、ストップ・モーションが効果的に使われている。地中に潜った男と、追いかける看守の追っかけは、モグラの通った後のように土が盛り上がることで表現されている。後半に出てくるライオンも、混乱を増すために、1頭ではなく5頭くらいを使っている。

 主演の2人の名前は、現在では無名だ。この2人には正直言って特徴がない。2人に特徴がない点が、初期スラップスティック映画との最大の相違かもしれない。最初に出てくる、配給を担当するエデュケーショナルのマークには「プログラムにちょっとしたスパイスを」と書かれている。その名にふさわしい、ちょっとした作品である。