映画評「THE PET」

 製作国アメリカ リアルト・プロダクションズ製作 監督・製作・脚本・作画ウィンザー・マッケイ

 「Dreams of the Rarebit Fiend」シリーズの1つとして製作されたアニメ。男が、妻が拾った4本足の生き物が、どんどん巨大化して、あらゆるものを食べ尽くす夢を見る。

 この作品は面白い。「ミャオ」となく、犬のようにもカバのようにも見える生き物。白目なのが怖い。この生き物が、最初はミルクを飲んで少し大きくなる。この辺りまでは、かわいいとも言えるが、徐々に大きくなると、机や椅子と何でも食べ出すのだ。しかも、食べている最中に徐々に大きくなっていく描写が不気味さを助長させて見事だ。最も不気味なのが、大量のネズミ殺しの液体を飲んだ生き物の体に無数の水泡が浮き上がるシーンだ。個人的にはこの手の描写は苦手なので、身の毛のよだつシーンだった。

 ラストは「ロスト・ワールド」(1925)や「キング・コング」(1933)を思わせる。だが、この作品の方が先に製作されている点を見逃してはならない。

 アニメならではの非現実的な展開、見事な演出。私にとっては、ウィンザー・マッケイ作品のベストだ。