映画評「PARDON ME」

 製作国アメリカ エディ・ライオンズ・コメディ製作 アロー・フィルム・コーポレーション配給
 監督・製作・出演エディ・ライオンズ

 エディ・ライオンズは今では忘れられた存在だが、1910年代から20年代にかけて、出演300本以上、監督100本以上にも上る短編コメディを生み出した人物である。サイレント期の映画製作は、トーキー以降と比較すると安価だったため、こうした個人プロダクションによる製作は多く行われていた。

 正直、面白いと思われるギャグはなかった。だが、ストーリーが凝っている。エディと親友は同じ女性を愛している。だが、2人は同じ女性を愛していることを知らずに、互いにライバルをやっつけてやると意気込んでいるのだ。この、「観客は知っているけれど、登場人物は知らない」というギャップの利用は、シナリオ創作上のテクニックの1つである。こうしたテクニックを巧みに使った作品と言えるが、ラストは主人公が女性をゲットするというお決まりのパターンだ。