映画評「DON'T BE FOOLISH」

 製作国アメリカ カンバーランド・プロダクションズ製作 アロー・フィルム・コーポレーション配給
 監督・製作・出演ビリー・ウェスト 出演フランク・ヘイズ、トム・マレー

 チャールズ・チャップリンの模倣者として知られるビリー・ウェストの作品だが、この頃のウェストはチャップリンの模倣からオリジナルのキャラクターに移行しており、この作品もオリジナル移行後の作品である。オリジナルのキャラクターとしてのウェストには、これといった特徴はない。きちっとしたスーツを着て、普通の口ひげを生やしている。

 公園で警官を怒らせ、若い女性に恋をするがうまくいかず、最後は警官との追いかけっこという、初期チャップリン映画を思わせる(同時期の他のコメディアンの作品にも共通する)展開である。だが、1つ1つのギャグは工夫されている。

 工夫が最も感じられるのは、後半の警官とのチェイスだ。警官に追いかけられたビリーが、警官の目をごまかすために真っ白な服に着替える。さらに追いかけられたビリーは、格子柄の敷物にくるまって警官をやり過ごそうとするが、格子柄が染めたてだったために真っ白な服が囚人服と同じ模様になってしまう。さらに逃げるビリーは、ある建物の柵の中に逃げ込むが、そこは刑務所で囚人と間違われ連れ去られてしまう。1つ1つのギャグとストーリー展開が、うまく融合している。

 老女リディアを演じているのは、フランク・ヘイズ。名前の通り、男性である。歯がなく、くしゃっとした顔が特徴的で、他にも同時期の様々な作品にも彩りを添えている。