フランス 亡命ロシア人の活躍

 ロシア革命の後に成立したソ連に留まらず、スターだったイヴァン・モジューヒンを始めとした映画人たちがフランスへ亡命してきていた。彼らは、自分たちの資金を使い、フランスで映画を製作した。

 「火花する恋」(1923)は、モジューヒンが製作・脚本・監督・主演した作品であり、亡命ロシア人が製作した映画の頂点とも言われている。ある女性が夢に出てきた探偵Zに恋をする物語であり、若き日のジャン・ルノワールも見て熱狂し、映画界入りする決意を決めたとも言われている。

 活躍をみせた亡命ロシア人だったが、数年後には散り散りになり、フランスやドイツの映画界に組み込まれていき、ロシア独特の国民性は失われてしまう。

 ちなみにモジューヒンは、後にハリウッドの整形手術で独特の顔立ちの一部が取り去られ、トーキーの到来によって英語が話せなかったために、忘れられていくことになる。