映画評「SKYLARKING」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]アメリカ [製作]マック・セネット・コメディーズ [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]ロイ・デル・ルース [製作・脚本]マック・セネット
[出演]ハリー・グリボン、リラ・レスリー

 気球を使って空中も飛べるように改造した自動車を発明したハリーは、浮気をしていると疑われ、妻たちから空を飛んで逃げる。

 自動車や汽車、飛行機など様々な乗り物を使ってスラップスティック・コメディを生み出してきたセネットは、既存の乗り物だけでは観客を楽しませるには不十分と感じたのか、気球をつけて空を飛ぶ自動車というオリジナルの乗り物を登場させている。

 ハロルド・ロイドの初期の作品や「ちびっ子ギャング」シリーズなどを製作したハル・ローチも、スナブ・ポラード主演の「贈り物(IT'S A GIFT)」で磁石を使って走るオリジナルの自動車を登場させていることを見ると、この傾向はセネットが製作した作品だけではなく、スラップスティック・コメディ全体のものだったのかもしれない。

 二重写しを使って表現される空を飛ぶシーンは、今の観点から見るとファンタジーの領域に入るだろう。今だとアクションに分類されるようなスタントも含めて、現実離れした映像はコメディの道具として使われるケースが多かった。