映画評「FEET OF MUD」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]アメリカ [製作]マック・セネット・コメディーズ [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]ハリー・エドワーズ [製作]マック・セネット [脚本]フランク・キャプラ、ハル・コンクリン、アーサー・リプリー、ヴァーノン・スミス [撮影]リー・デイヴィス、ウィリアム・ウィリアムス [編集]ウィリアム・ホーンベック

[出演]ハリー・ラングドン、ナタリー・キングストン、ヨーク・シャーウッド、フローレンス・リー、ヴァーノン・デント

 フットボールで活躍したハリーは、恋するニナと結婚しようとするがニナの父親に反対される。ニナの父親の歓心を得ようと、ニナの父親に紹介された路上清掃の仕事を一生懸命やるハリーは、いつの間にかチャイナタウンで起こったいざこざに巻き込まれる。

 フットボール、路上清掃、チャイナタウンと3つのシークエンスに明確に分けられる作品。そのどれもが、同時期のサイレント・コメディでも扱われていて目新しさはない。だが、細かいギャグやタイミングが見事で、すっきりと楽しませてくれる。中でも、多くの客の乗降に右往左往するシークエンスでは、モップの柄がハリーの首に巻き付いて四苦八苦する。チャイナタウンでは、中国語で書かれたチケットを渡されたハリーが、周りの中国人に見せると、みんな飛ぶように逃げ去っていく。

 ハリーの表情にも注目だ。何だか面倒くさそうな表情を絶やさない表情で、起こる事態に対して常に受け身のハリーは、主役という概念からは程遠い存在のように感じさせる。行動せざるを得ない状況が、テキパキとした演出の中で展開されると、他の作品には見られない味わいが出てくるから不思議だ。

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