映画評「THE CALGARY STAMPEDE」
[製作国]アメリカ [製作・配給]ユニヴァーサル・ピクチャーズ
[監督]ハーバート・ブラッシュ [製作]カール・レムリ [脚本]E・リチャード・シェイヤー、ドナルド・W・リー [撮影]ハリー・ニューマン
[出演]フート・ギブソン、ヴァージニア・ブラウン・フェアー、クラーク・コムストック、フィロ・マッカロー
牧場主のマリーに恋するカウボーイのマロイは、牧場主殺人事件の犯人と疑われ、逃亡する。身分を隠して、他の牧場で働くマロイ。マロイが働く牧場主が、他の牧場主と、馬の曲乗りレースに勝った方が全財産を譲る約束をしたのを知ったマロイは、レースに出場する。
ポスターを見ると、当時ユニヴァーサルが行なっていた作品の格付けでトップとなる「ジュエル」作品として作られていることから、主役のフート・ギブソンは当時スターとして活躍していたのだろうと思われる。決してストレートなハンサムではないが、間抜けのフリをする演技などもできる起用な役者のようだ。ちなみに監督のブラッシュは、映画草創期にフランスで映画監督として活躍したアリス・ギイの元夫である。
「ジュエル」作品であることは、タイトルの「スタンピード」とある通りのバッファローの集団疾走シーンや、実際に行われたレースを活用して撮影されたと思われるクライマックスのレースにも現れている。バッファローの疾走シーンは、もちろん後年の「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(1990)と比べると迫力が足りないが、曲乗りレースは、2頭の馬の背中に立って走るというスタイルが珍しいこともあり、楽しむことができた。
「濡れ衣を着せられた主人公」は、西部劇では多く語られるストーリーだ。その中で、登場人物の魅力や、珍しい光景などを盛り込んで個性を感じさせる作品も少なからずあり、この作品には、曲乗りレースやフート・ギブソンの魅力があった。