映画評「MARY, QUEEN OF TOTS」

[製作国]アメリカ  [製作]ハル・ローチ・ステゥディオズ  [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]ロバート・F・マクゴーワン  [製作・脚本]ハル・ローチ  [撮影]アート・ロイド   [編集]リチャード・C・キュリアー

[出演]メアリー・コーンマン、ジョー・コブ、ジャッキー・コンドン、ミッキー・ダニエルズ、リチャード・ダニエルズ

 金持ちの娘として生まれたが、親の愛を受けられず、友だちもいない少女メアリー。優しい庭師がプレゼントしてくれた人形を部屋の片隅において眠ったしまったメアリーの横で、人形たちが動き出す。ハル・ローチ製作の「OUR GANG(ちびっ子ギャング)」シリーズの1つ。

 ちびっ子ギャングの面々が脇役となっている作品。主役はメアリーで、ちびっこギャングたちの存在がメアリーを楽しませ、気分を良くさせるのだ。しかも、最初は動き出す人形として登場した後、人形そっくりの本人たちが現れて、メアリーが「人形に命が吹き込まれた!」と大喜びするという工夫がされている(人形のモデルがギャングの面々だったのだ)。

 ツルツル滑る床の上に置かれた敷物ひとつで、「魔法の敷物だ!」と大騒ぎする子どもらしさは微笑ましいし、ラジオから聞こえた「帽子を取れ!」という言葉に驚いて帽子を取って直立不動になるというギャグも楽しい。

 寂しい少女の物語でもあり、ファンタジーでもあり、これまでの作品のようにギャグでももちろん楽しませてくれる。この頃の「ちびっこギャング」シリーズの作品群は、単に子どもたちが主人公のスラップスティックから他の要素加えたシリーズに脱皮しようとしている。