映画評「BOYS WILL BE JOYS」

[製作国]アメリカ  [製作]ハル・ローチ・ステゥディオズ  [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]ロバート・F・マクゴーワン  [製作]F・リチャード・ジョーンズ  [脚本]ハル・ローチ [撮影]アート・ロイド  [編集]リチャード・C・キュリアー

[出演]チャールズ・A・バックマン、アラン、キャヴァン、ジョー・コブ、ジャッキー・コンドン、ミッキー・ダニエルズ

 遊園地の土地が買収されビルにされることを知ったちびっ子ギャングたちは、開発を進める会社の社長に直談判に行く。童心を忘れていない社長は、ちびっ子ギャングたちとともに遊園地で遊び、会社の幹部たちも呼び寄せる。ハル・ローチ製作の「OUR GANG(ちびっ子ギャング)」シリーズの1つ。

 子どもたちのものだった「ちびっ子ギャング」の世界に、大人が入ってきた貴重で記念すべき作品。これまでは(現実には不可能なのだが)子どもたちの力で遊園地や動物園などを作ってきたギャングたちに、大人のお墨付きが付き、大人も一緒に楽しむのだ。

 ギャングたちとともに遊ぶ社長は高齢である。年を取ると童心に返るという意味の「八十の三つ子」という言葉があるように、高齢の人物が子ども一緒に無邪気に遊ぶという内容は、この後に作られる映画でも多く使われている。

 滑り台のような乗り物にカメラを据え付けて、実際に乗り物に乗っているような視点で撮影された迫力あるショットもあり、演出も楽しませてくれる

 大人が前に出てきた分、子どもたちが後ろに隠れてしまっているほどで、この作品の実質的な主役は社長と言えるだろう。「ちびっ子ギャング」シリーズはこのようにして、子どもたちの世界の枠を超えていくのだった。