ドイツ F・W・ムルナウの活躍「ファウスト」

F.W.ムルナウ コレクション ファウスト クリティカル・エディション [DVD]

 ドイツでは、ゲーテの原作をハンス・キーゼルが脚色し、F・W・ムルナウが監督した「ファウスト」(1926)が、膨大な製作費で作られている。ノーベル文学賞受賞者のゲアハルト・ハウプトマンが文学的な字幕を書き、「ニーベルンゲン」(1924)のカール・ホフマンが撮影を担当。セットは「タルチュフ」(1925)でもムルナウとコンビを組んだワルター・レーリッヒとロベルト・ヘルルトが担当し、エミール・ヤニングスメフィストフェレスを演じた。リリアン・ギッシュが出演する予定だったが、最終的には実現しなかった。

 オープニングでは、ミニチュアを使ってヨーロッパ横断を表現した撮影を行った大作だったが、誇張されたイメージと、重苦しいファウスト物語が絵巻物のように続く作品で、ヤニングスのメフィストは舞台的なオーバーアクトだったという。興行的に失敗し、ウーファの財政悪化の一因となった。

 ムルナウは「ファウスト」を最後に、ムルナウはハリウッドのフォックス社の誘いに応じて、ドイツを去っていく。