ドイツ G・W・パプストの異常性への興味「心の不思議」

 「喜びなき街」(1925)で戦後のウィーンの社会状況を即物的に描き出したゲオルク・ヴィルヘルム・パプストは、「心の不思議」(1926)を監督している。殺人衝動にかられる主人公が、その衝動から解放されるまでを描いている。フロイト精神分析をテーマに人間の精神の異常性を扱った作品であり、「異常なものへの興味は、やがてパプストのリアリズムの特質となる」(岡田晋、「ドイツ映画史」)という。フロイトを協力者に迎えた作品とされたが、フロイトは乗り気ではなかったためフロイトの協力者が協力した。