映画評「CHARLEY MY BOY」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]アメリカ  [製作]ハル・ローチ・ステゥディオズ  [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]レオ・マッケリー  [製作]ハル・ローチ  [撮影]ハリー・W・ガースタッド  [編集]リチャード・C・キュリアー

[出演]チャーリー・チェイス、キャスリン・グラント、ウォルター・ジェームズ、ウィリアム・コートランド

 求職中のチャーリーは、美しい女性ドゥドゥと偶然知り合いになる。事務職で採用されたチャーリーのボスはドゥドゥの父親で、ドゥドゥは父親の紹介で中年のチャーリーとの縁談を勧められていた。中年のチャーリーをディナーに呼んだドゥドゥの父親だったが、同僚のイタズラでチャーリーが招かれたと勘違い。ディナーでは、睡眠薬を大量に飲まされたチャーリーが騒動を起こす一方で、アルコールを見つけた中年のチャーリーが警察を呼んで(当時は禁酒法時代)大騒動になる。

 サイレント期に人気を呼んだコメディアン、チャーリー・チェイス主演作。後の巨匠レオ・マッケリーが監督を務めている。

 この頃のチェイスの作品らしくストーリーは少し複雑で、チャーリーが睡眠薬を大量に飲まされるというシチュエーションの面白さも見せてくれる。肉を給仕から受け取るために皿を掲げたまま眠ってしまい、給仕が肉をよそってもよそっても催促していると勘違いするといったギャグが展開されるが、これといった優れたギャグはなかった。

 禁酒法は当時のコメディの題材となることが多い。それくらい世間では受け入れられていなかった法律だったということなのだろう。この作品では、酒が警察に見つかるのを防ぐために追い詰められたチャーリーが、ズボンの中にすべて注ぎ込んでパンパンになったまま逃げようとして、警察が撃った銃弾によってズボンに穴が空くというギャグで締めくくられている。アイデアとしては面白いのだが、視覚的に派手に噴出してくれると楽しかったのにと思うと少し残念だ。

 当時のチャーリー・チェイスの作品としては中程度の出来栄えに思えるが、生き生きとしたチャーリーの演技や、様々なギャグのアイデア、複雑なストーリーに、チェイスとマッケリーが組んだ作品が当時受け入れられた理由を感じ取ることが出来る。