「つばさ」 記念すべき第1回アカデミー賞受賞作品

つばさ [DVD] FRT-197

 アカデミー賞の記念すべき第1回作品賞(と技術効果賞)を受賞したのが、パラマウントの「つばさ」(1927)である。同時に、空中戦映画の先駆的な超大作として映画史に名を残している。

 当時は、航空機がブームとなっており、ハリウッドでも航空機映画が多く作られていた。1927年の5月には、リンドバーグが大西洋横断に成功し、航空機熱はいやが上でも高まっており、「つばさ」は記録的な興行成績を挙げた。

 原作は、アメリカ陸軍航空隊航空学校出身のジョン・モンク・サウンダースで、空軍で活躍した経歴を持つウィリアム・ウェルマンが監督を担当した。二枚目役者のチャールズ・ロジャーズとリチャード・アーレンに加えて、「itガール」として人気を得ていくクララ・ボウが出演した。また、ゲーリー・クーパーが、見習い飛行士の一人として、1シーンだが非常に印象的な場面で登場している。

 まだデビューしたてだったクーパーは、食べかけのチョコバーを置いていったまま戦死してしまう脇役で出演している。この役柄が日本で絶大な人気を得て、日本が「ゲーリー・クーパーを世界で最初に見出した国」になったといわれている。

 空中戦の撮影には21台のカメラが使われて、迫力を生み出した。役者はスタントマン抜きで飛行機を実際に動かし、撮影も役者自身が行ったりしたという。その結果生み出された映像は、空中戦の雛形として、「スター・ウォーズ」(1977)などの、この後の作品に受け継がれていく。

 地上戦の撮影においても、視野を広げるために、高さ約20メートルの足場を配置。その上に15台のカメラを設置し、監督のウェルマンは、その足場の1つから指示をしたという。

 公開に当たっては、空中戦になるとスタンダードサイズの画面が横に広がって迫力を生み出す、「マグナスコープ」と呼ばれる方式で公開された。


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