「カルメン」 ラォール・ウォルシュの通俗性

 ラォール・ウォルシュ監督は、「カルメン」(1927)を監督している。プロスペル・メリメの原作小説よりも、歌劇「カルメン」の映画化に近い。スペインを熱狂させている闘牛士エスカミロは、負傷中に情熱溢れるカルメンと出会い・・・という内容の作品だ。ドロレス・デル・リオがカルメンを、ヴィクター・マグラグレンが闘牛士エスカミリオを演じた、ハリウッドらしい娯楽作である。当時のウォルシュはメロドラマ風の作品も手がけ、いい意味の通俗性を持った作品を送り出していた。