大スターたちの映画出演 1927年

 自身のプロダクションで大作を製作したダグラス・フェアバンクスは、「ガウチョ」(1927)に出演している。アレグザンダー・ウォーカーは「スターダム」の中で、この作品を批判的に次のように書いている。「あの無邪気な運動家が自意識過剰のナルシストにとって代わるのを見るのは苦痛ですらある」。この作品には、妻であるメアリー・ピックフォードが少しだけ出演しているという。

 「ラ・ボエーム」(1926)で見事な演技を見せたリリアン・ギッシュは、「アンニー・ローリー」「敵」(1927)に出演している。「アンニー・ローリー」は、ギッシュが企画に参加しなかった作品で、批評的には成功したが、ヒロインが感情の深みやスケールを持っていなかったと、ギッシュ自身が自伝で語っている。

 前年にワーナーのサウンド版「ドン・ファン」(1926)に主演したジョン・バリモアは、ドイツの名優のコンラート・ファイトと共演した「我れ若し王者なりせば」(1927)と、アベ・プレヴォー原作の最初の映画化と言われる「マノン・レスコオ」(1927)に出演している。

 プレイボーイから男性映画の主役まで幅広い内容の映画で主演していたロナルド・コールマンは、「悲恋舞曲」(1927)に出演している。17世紀のスペインを舞台に、ジプシー男とフランスの姫君の激しくも悲しい恋物語が、耽美的な映像で綴られる作品である。


スターダム―ハリウッド現象の光と影

スターダム―ハリウッド現象の光と影