エチエンヌ・マレー(1)

 マイブリッジが行った実験は多くの人の知るところとなる。エジソンもその1人で、マイブリッジが作った連続写真が動く簡単な機械とエジソンの蓄音機をむすびつけた機械の相談を2人がしたという。
 そんなエジソンよりも強くマイブリッジの実験に興味を持った人物がいる。次はその人物について書く。

 エドワード・マイブリッジが写真家であったのに対し、これから紹介するエチエンヌ・マレーはフランスの生物学者だ。彼の研究対象は、動物の動きである。写真はその動物の動きを研究するための手段として、マレーの興味を引いていた。そんなマレーはマイブリッジの実験を知って、自分の研究に応用できないかを考えた。マイブリッジに相談したらしいのだが、あまり芳しい結果は得られず、マレーは自分で機械を開発することになる。
 馬の動きをマイブリッジは写真撮ったのだが、マレーは鳥の連続した動きを写真に撮って研究したかった。空を飛ぶ鳥に、馬のようにワイヤを切らせることはできない。そんな鳥の写真を撮るためにマレーは1882年「写真銃」と呼ばれる機械を開発した。これは別の人が開発していたリヴォルバー式の写真機を改良したものだった。「リヴォルバー」はあの拳銃のリヴォルバーだ。弾丸の代わりにガラスの乾板が装填され、発射する代わりにガラスの乾板が露光される。1枚露光されると、回転して次の乾板が露光される。これがすごい勢いで繰り返し行われることで、1秒間に10枚以上の露光を行うことが可能になった。これによって、撮影者がカメラを向けたものならば、どんなものでも連続撮影を行うことが可能になった。


写真銃はこちらで見られる
http://www.minpaku.ac.jp/special/200007/200007_topic_01.html