エドワード・マイブリッジ(2)

 マイブリッジが撮影した写真をつなぎ合わせると、その後の映像で使われるフィルムに似ているように見える。だが、様々な面で異なる部分がある。
 まず、それぞれの視点がずれているという点。1台のカメラで撮られたものではないため、当然のこととして中心はずれて映っていた。次に、一定間隔で撮られたものではないという点。走る馬がワイヤを切るため、走る速度やワイヤの強度などによって撮影される間隔は違っていた。
 マイブリッジはこの写真を幻燈で映写したり、動いて見える簡単な機械を作ったりしたが、それは写真の数が少ないため短時間のものであり、今の私たちが認識している映画とはまだかけ離れている。

 この時のエピソードで面白いのは、マイブリッジによって撮られた写真に映し出された馬の見た目が、それまで絵で描かれてきた馬たちの姿と比べると、見苦しいものとして一般的に受け入れられたという点だ。「真実とは最初は見苦しいものなのかもしれない」という内容の文章を残している人物もいる。それまで描かれてきた馬の姿は、それまでの人間が美しいと思う形に変えられていたというのもおもしろいし、今の私たちが走る馬の静止写真を見てみんながみんな見苦しいとは思わないというのもおもしろい。


エドワード・マイブリッジが撮影した写真はコチラで見られる。
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