映画の興行的・娯楽的祖先(3) 幻燈

 強力な光源を使って、スライドなどのイメージを白くスクリーンに投影したもの。

 光源は当初、ろうそくやオイル・ランプによる弱々しいものだった。強い光源が得られ、拡大映写が可能になったのは19世紀から。また、当初はガラス板などに彩色されたスライドが使われていたが、19世紀中頃からは写真がスライドに用いられるようになる。加えて、機械仕掛けのスライドなどの考案や複数のレンズの使用などで動きを伴うようにもなり、人気を博した。家庭用の機械も売り出された。

 影絵と同じように、上演時に暗くする必要性が映画館と共通するものがある。

 写真のスライドを強い光源を使ってスクリーンに投影するという19世紀中頃以降の方式は、映写機とかなり近い構造を持っている。幻燈に投影されたイメージが動き出すためには、大量の写真を続けて撮影するなど様々な技術が完成するのを待つことになる。

 幻燈の興行の代表的なものに、「ファンタスマゴリア」と名づけられたものがあるが、これについては次回。