映画の興行的・娯楽的祖先(4) ファンタスマゴリア

 幻燈によるスペクタクルショー。1798年にフランスでロベールソンによって興行された。

 場所はパリの廃墟となった礼拝堂。明滅する光と、轟く雷鳴の中、幽霊や骸骨、フランス革命で処刑された有名人たちが映し出された。
 単にスライドが映し出されただけではなく、スクリーンの背面から映写したり、スライドの像の周りを真っ黒に塗りつぶす事によって像だけが浮かび上がるようにしたり、台車に載せた映写機とスクリーンの距離を縮めたり伸ばしたりすることで像を拡大・縮小して見せたり、煙に映写して空中に像を浮かび上がらせたりと、観客を怖がらせる様々な工夫がなされていた。

 と、書いているとどんなものだったのか見てみたい気持ちに駆られてくる。とっても、おもしろそうなのだ。

 ファンタスマゴリアも暗闇に大勢の人が集まるなど、映画館と通じる部分がある。最も通じると思われるのは、様々な工夫を凝らして観客を怖がらせよう(そして楽しませよう)としている点だ。映画も映像で音で様々な工夫を凝らして、観客を怖がらせたり、楽しませたりという努力を続けてきた。そして、今も続けている。


ファンタスマゴリアの上映の様子の画像はコチラで見られます。
http://www.littera.waseda.ac.jp/major/hyougen/graminees/backnumber/mag2004/okamuro.html