映画の興行的・娯楽的祖先(6) ソーマトロープ フェナキスティスコープ

  • ソーマトロープ

 紙の円盤の両側につけられた糸を指でひっぱると円盤が回転し、両面に描かれた二つの絵が重なって1つの絵になる。残像現象を利用した玩具で、映画との関係は残像現象を利用している以外はあまりないように思える。

 片側が鳥、片側がカゴになっており、回転させると鳥がカゴの中にいるように見えるというのを何かの映画で見たような気が。せつない境遇にいる子供が鳥が描かれたソーマトロープで遊んでいて、境遇とカゴの中の鳥という図柄がリンクしてせつなさを増大させていたような気が。本当に損な映画があったかどうか、はっきりとした確信はない。

  • フェナキスティスコープ

 驚き盤とも言われる。円盤の内側に1ダースの連続した動きを描いた小さな絵を配し、絵と絵の間にスリットを入れ、鏡の前で円盤を素早く回し、スリットを通してみると絵が動いているように見える仕組み。連続した絵ではなく、イメージが一つのアクションとなる。

 残像現象を研究したジョゼフ・プラトーが開発。これも玩具だが、18世紀においては高価なものだったという。


 両者とも、残像を利用している意味で映画に祖先といえるが、もちろん後の映画のような物語を語る機能は持っていない。ただし、残像を利用したものに、人間が興味をいだいていたということの証明にはなるだろう。


ソーマトロープやフェナキスティスコープは自分で作る事ができる。知りたい方は下記を参照。
http://jvsc.jst.go.jp/find/anime/tukuru/index.html