リュミエール社作品集(9)

「セントジェームス宮殿の下番衛兵」(1897)

 ロンドン。今でも使われているモコモコの縦長の帽子を被った衛兵たちの行進。
 こういう元々様式化されたものは撮影しやすかったことだろう。


「病人の輸送2」

 野外でタンカに乗った病人たちが馬車から降ろされて運ばれていく様子を撮影。
 タイトルから想像されるあわただしさはない。
 緊急性を要する病人ではなく、昔からの病人の移動という雰囲気。
 女性の病人が、こんなときでも帽子を被って着飾っているのは、映画の撮影のためか、それともそういう風習なのか。


「赤ん坊の初歩行」(1896)

 2人の幼い子供が歩いている様子とそれを見守る大人の女性を撮影。
 タイトルに初歩行とあるが、違うだろう。普通に歩いているし、初めてにしては見守る大人の女性の反応がなさすぎる。


「ローラー」(1897)

 リヨン郊外の運河。地面を馴らす車と、車が通った後にさらに馴らす人々の姿を撮影。
 ローラーの車が初めて見るもので新鮮だった。


「チロルの踊り」

 恐らく民族衣装と思われる服をまとった男女のダンスと、チターのような楽器で演奏をする人物を撮影。
 最後にキスシーンがある。ナレーションによると、リュミエール社の中では唯一のキスシーンらしい。