リュミエール社作品集(10)


「椰子の下のロバ」

 ファラオの首都メンフィス。後ろにラムセス二世の像が横たわる前を、ロバに乗った人々が椰子の木の間を縫って走っていく。
 なぜか後のハリウッドにおけるエジプトのシーンを思い出してしまった。この現実感の欠如は何なのだろうか?ハリウッド映画を多く見てきたからなのか、それともこの映画のアングルや対象物にハリウッド映画に共通するものがあるからなのか?
 思うに、後ろに横たわるラムセス二世の像があまりにも、「エジプトでございます」感を漂わせているからだろう。


「ニースのカーニヴァル

 仮装行列だろうか?仮装をした人々が歩いていく。また右奥には機械仕掛けと思われる大きな人形が見える。
 ナレーションで「右手にカーニヴァル王25世が見える」と言っているのはこの人形のことだろう。
 ナレーションではその後、「七面鳥に乗って、マダム・カーニヴァルを待っている。98年後の1995年の今も王様は現役で頑張っている。1995年の王様は“映画王”だ」と続く。正直、意味がわからない。フランスのカーニヴァルの風習を知ると分かる事柄なのだろうか?


「バルドの階段を降りるチュニスの太守」(1903)
 ルーベ大統領がチュニジアを訪問したときに撮影。チュニジアの君主が住居の階段を降りてくる様子を撮影している。
 チュニジアの君主とともに、ギャグかと思うくらい同じような服装をした人が大勢降りてくる。1分間の映画が終わってもそれはまだ続いている。しかも、結局あまりにも大勢でチュニジアの君主が誰かは分からなかった。
 映画の撮影が物珍しいと見え、かなりの確率で降りてくる人はカメラの方を見ていた。


「スケーター」
 アイススケートの様子を撮影。


「洗濯物の取り込み」(1898)
 プロミオにより撮影
 戦艦に干されていた大量のシャツを海兵たちが取り込む様子を撮影。
 小さな旗が大量にはためくように干された白いシャツは圧巻。