リュミエール社作品集(13)

「カルモー:コークスの取り出し」(1896)

 機械によって押し出されるコークスに水をかけて冷やす様子を撮影。
 以前にパソコンのモニター上で見たときは、水をかけることでコークスが崩れていると思ったが、男が棒で崩していることがわかった。画面が小さいと見逃すものも多いのかもしれない。


「魚市場」

 マルセイユ。港で魚を売っている様子を撮影。
 離れたところから、売っている様子を撮影しているため、多くの人が群れているようにしか見えてこないが残念。


「ピストルによる決闘」(1896)

 メキシコ。演出された決闘。撃たれた人物が倒れる。撃った方の人々は去っていき、残った人々が必死に治療を施す。
 ガブリエル・ヴェールによるこの作品は、当時のメキシコでスキャンダルとなったという。この作品のナレーションでも新聞が抗議を行ったことを説明していた。
 確かに、映像はリアルで(特に撃たれた人に必死に治療を施す様子が)、当時の人には区別がつかなかったことだろう。
 映画監督の吉田喜重が、この作品を巡るスキャンダルが、映像の持つ暴力性をヴェールに気づかせ、後に日本では生きている人々(カメラを見返せる人々)ばかり撮影したのではないかと推測している。本当のところはもちろんわからない。
 この作品と作品を巡る状況は、映像とは何かという問題をいろいろとはらんでいるように思える。


「猫の食事」

 肉球を舐めている猫の前に、子供がタルトを置き、猫が舐める様子を撮影。
 猫を比較的近影で撮影している。

「木挽き」(1896)

 ローザンヌ。街の通りで木を鋸で切る人物と、切られた木をナタで割る人物の様子を撮影
 太陽光が十分だったためか、画面がきれい。奥までしっかりとピントが合っていて、1930年代くらいのフィルムと比べても遜色がないかもしれない。