リュミエール社作品集(25)
「鍛冶屋」(1895以前)
鉄の棒を叩く人物と、何やらレバーを回す人物の2人の様子を撮影。
1895年の最初の有料上映でも上映。
ナレーションによると別のバージョンもあり、そちらでは鉄の棒を叩く人物がネクタイをしていないという。
画像が多少粗いのは、初期の作品だからか。
「馬跳び」
体操の授業での馬跳びをする学生たちの様子を撮影。
いわゆる跳び箱だが、箱ではなく、高さの調節が出来ない。
着地点の延長上にカメラが据えられており、生徒たちが接近してくる構図になっている。
「中風患者」
コント。中風患者に、子供が帽子を被せたり、付け髭をつけたりする。
説明がなければ、コントだとは気づかなかったかもしれない。
いたずらをした子供は母親にしかられるのだが、妙にリアルだ。
この作品に限らず、まだ「映像」しか存在せず、フィクションとノンフィクションの区分もまったくなかった時代の作品は、逆説的に映像自体が持つ力を教えてくれるように思える。
「消防訓練」
ホースから水を噴射する消防訓練の様子を撮影。
幾組かのチームに分かれて、放水訓練をしている。
放水訓練が終わった後は、ホースの先っぽに何かをしているのだが、何をやっているのかよくわからないまま終わる。今なら、アップになるところなのだろうが、当時はそういう発想はなかったし、する必要もなかった。何かを語りたいわけではないから。
「東京の通り」
関東大震災以前の東京の通りを撮影。
ナレーションでは推測でビジネス街ではないかと語っている。理由は女性の姿が見えないから。
車道がない時代の通りは幅が広くてゆったりとしている。時代劇で見るような雰囲気と、多少近代的な雰囲気が混じった当時の様子の一端を垣間見ることが出来る。