リュミエール社作品集(35)

「跳ね橋」

 ケルン。ライン川にかかる橋を行き交う人々の様子を撮影。
 前作で説明されていた船橋なのかは不明。
 せっかくの跳ね橋なのに、撮影されているのは橋が閉じている状態。どうせなら、橋が開く過程を撮影してくれればおもしろかったのにと思う。
 だが、橋の板をはめ込む人々の姿が当時の跳ね橋の一端を見せてくれる。


「コンサート」(1896)

 野外でバイオリンとピアノ、合唱の様子を撮影。
 何やら息が合っておらず、ちょっとした口論をしているように見えるが、会話は聞こえないので、はっきりわからない。もちろん、演奏の音も聞こえないので、どんな曲を演奏しているのかもわからない。
 聞こえない音楽を演奏している様子を映し出してもつまらないと思って、口論の小芝居を入れたのかもしれない。


「行列:女王」(1897)

 ロンドン。ビクトリア女王の在位60年パレードの様子を撮影。
 ひしめく観衆が、ビクトリア女王に手や旗を振る様子が映し出されている。


「農耕用の牛の捕獲」(1896)
 
 メキシコ。人々が多くの牛の元に駆け寄り、連れて行く様子を撮影。
 捕獲という言葉から連想される荒々しい映像ではない。すでに捕獲されている牛をどこか別に場所に連れて行く様子を撮影している。
 映画が始まったと同時に、多くの人々が画面の外から走って牛の元にやってくる様子はまるで運動会のようだった。それくらいはっきりとした作為がわかる。


「焚き火」

 キャンプファイヤーのように組んだ木が燃える様子を撮影。
 ひたすら木から立ち上る煙が映し出されている