リュミエール社作品集(36)
「曲乗り」(1895)
馬に乗ろうとするが、なかなか乗れない男の様子を撮影。
コントである。馬を真横から撮影し、一生懸命に馬に乗ろうとする男と、一生懸命に馬に乗せようとする男の努力は無駄となり、何度やってもなぜか馬の向こう側に降りてしまう。最後にやっと乗ることができるが、なぜか横乗りになってしまう。
舞台などでの出し物を映画化した系列の作品といえる。
この作品が最初期の作品の1つであることを考えると、リュミエール社の作品は最初からフィクションへの指向もあったことがわかる。
「バブ=アズム通り」(1896)
アルジェ。通りを行き交う人々の様子を撮影。
アルジェリアの人々と思われる服装をした人々と、フランス人と思われる服装をした人々が混在している様子が、当時のアルジェの特色を際立たせているように思われる。小さな馬のような動物もそれを補強している。
「ヴィクトル・ユーゴーと『レ・ミゼラブル』主要人物」
ユーゴーと「レ・ミゼラブル」の登場人物への早変わり変装芸を撮影。
前に歴代大統領の早変わりを見せてくれたのと同じ人物だと思われる。
写真で芸を記録するとなると、もちろん変装が終わったところとなるのだろうが、映画の場合は、むしろ変装中の急いで防止を被ったりヒゲつけたりしている後姿がおもしろい。メディアの特性の違いからくるものだろう。
「ミラノ:ドゥオーモ広場」(1897)
ミラノの通りを行き交う人々の様子を撮影。
市電と馬車と徒歩の人々が行き交う。これはミラノに限らず、当時のヨーロッパの大都市に見られる光景で、19世紀末の大都市の通りがどういったものだったのかを知ることができる。
「地引網を引く」
ナポリ。地引網を引く人々の様子を撮影。
漁師の格好ではないことを考えると、何かのイベントで地引網を行っているものと思われる。