リュミエール社作品集(37)

「研師とぺてん師」

 コント。ハンドルを回す機械で何かを研いでいる人物。彼が男性にタバコに火をつけてあげる間に、2人の男たちがハンドルを回すと空気が出る地面の部分にいたずらをして、土が舞いあがるようにする。再びハンドルを回すところに一人の着飾った女性が通り、舞いあがった土で真っ黒になってしまう。
 斜めの構図と登場人物の配置が素晴らしい。ただ、機械がよく見えないという難があるが。


自転車競技のスタート」(1896)

 リヨン。通りを多くの自転車が走りぬけていく様子を撮影。
 市民マラソンのスタートのようなゆったりとした雰囲気。
 ナレーションで、「空気抵抗を避けるために身をかがめているが、ヒゲの人物も多い」と語られているが、映像でははっきりとわからない。


「二人宙返り」(1899)

 あお向けの状態で上に突き上げた足の上に子供を乗せて宙返りをさせたりする様子を撮影。
 サーカスの出し物の一つとのこと。
 この作品に限らず、芸は真正面から撮影されたものが多い。舞台の視点をイメージしてのことなのだろう。特等席で見られるという雰囲気。
 この作品の宙返り芸は、凝っていない分、身体能力の素晴らしさが伝わってくる。


「両陛下のゴンドラでの出発」(1898)

 イタリア。イタリアとドイツの国王が水上のゴンドラに乗り込む様子を撮影。


コロンビア特別区の国民軍の縦列行進」(1896)

 アメリカ。行進する軍隊を撮影。
 ほぼ真横から撮影しているため、目の前を通る人たちしか分からず、広がりに欠ける。
 リュミエール社の他のこの系統の作品は斜めにカメラが向けられていることが多い。