リュミエール社作品集(68)
「鉄道でエルサレム出発(パノラマ)」
鉄道の後ろにカメラを据え、遠ざかる駅と見送りの人々の様子を移動撮影。
最初に数人の人が映り、移動が始まると多くの人が映り、最後は誰も映らなくなるというつながりが旅情感を感じさせる。後方に見える荒涼とした風景が、それを助長しているのかもしれない。
「屋根の上の追跡」(1898)
屋根の上のセットで、泥棒と警官の追いかけっこの芝居を撮影。
追いかけっこといっても、後年のチャップリン映画のような激しいドタバタではなく、もっとゆっくりとしたもの。
ナレーションによると、ゴーモン社がこの作品のセットを買い取り、この作品とほとんど同じ作品を撮影したのだという。
「ペタンク大会」(1896)
ペタンクという、小さなボールを投げる競技の様子を撮影。
カメラがボールを投げる人に正対するように据えられており、画面の真正面からこちら側に向かってボールが飛んでくる構図になっている。こういう構図は珍しいように思える
「ウェストミンスター橋」
ロンドン。橋を行き交う人々の様子を撮影。
後方にビッグベンと国会議事堂も見え、ロンドンを紹介するためのフィルムとしては最高の構図になっているように思える。
「催眠術の場面(2)」(1898)
自分で催眠術をかけて、自分で解くという女性が催眠術を自らにかける様子を撮影。
画面が粗いのと、リアリティのある室内のセットのおかげで、妙なリアリティがあるが、演技が大げさ過ぎてやっぱりうそくさい。