リュミエール社作品集 まとめ(2)

 リュミエール社の作品は約1分である。これは、当時のロールフィルム1本分の長さだ。画面は固定されており、途中で編集はない。1分間、同じ視点で撮影された作品がほとんどだ。中には、船や列車、エレベーターや動く歩道などにカメラを載せた移動撮影を行ったものも見られるが、数は多くはない。

 リュミエール社の作品というと、リアリズム的・ドキュメンタリー的な作品が多いと言われている。目の前で繰り広げられている情景をそのまま撮影しているという意味である。これに対して後にトリック映画で人気を得るジョルジュ・メリエスの作品は作り物・フィクション的な作品が多いといわれている。この比較はわかりやすいために慣用されることが多いが、現在では、否定されたり別の解釈をされたりしている。

 私が実際にリュミエール社の作品を見た印象も、通説とは少し異なる。確かに、目の前で繰り広げられている情景をそのまま撮影しているという印象を受ける作品も多々あるのだが、演出を思わせる作品も多々ある。それは、舞台を映したような作品などの作品ばかりではなく、一見、ただカメラを置いて撮影したと思われるような素朴な作品にも感じられる。たとえば、1分間ぴったりで目の前の出来事が終わったり、普段はしないであろう動きをしていたりといったところで感じられるのだ。