リュミエール社作品集 まとめ(4)

 350本強のリュミエール社の作品を見て、私が最も興味を引かれたのが、「各地の珍しい光景」である。特にフランスが植民地としていたアルジェリアベトナムの光景を撮影したものが興味深かった。

 私はアルジェリアベトナムの作品を見て、「植民地支配」というものが今までよりも何となくわかったような気がする。作品自体は、植民地支配自体を描いたものではない。だが、撮影されたフィルムの端々に植民地支配が見え隠れする。

 たとえば、「サイゴンの人夫」という作品がある。おそらく撮影用に集められたであろう現地の人々が、指示された通りにローラーを引いていく。そこに、フランス人と思われる人物が自然に通っていく。一見、何の変哲もない光景なのだが、指示されてローラーを引く現地の人々と、自由気ままな感じで道を歩くフランス人の対比が、私に植民地支配をより近いものに感じさせてくれた。これは、おそらく、映像で見ることがなかったから、知る事がなかった感覚だろう。そう、論理ではなく、感覚で植民地支配を感じる事が出来るのだ。