リュミエール社作品集 まとめ(5)

 日本人として興味深かったのは、当然日本を撮影したフィルムである。日本を撮影したフィルムは他の国のフィルムと比較すると多い。これは、当時のヨーロッパの美術界などでちょっとした日本ブームが起こっていたということや、ヨーロッパから遠く離れた日本の風俗がフランス人にとって物珍しかったというのもあったのだろう。

 日本を撮影したフィルムは当時の日本を知る上で非常に役に立つことは間違いない。特に太平洋戦争後、街並みがすっかり変わってしまった東京の街並みは興味深かった。一方で、フランス人が楽しめるように様々な面で演出が加えられていることも考慮に入れなければならないだろう。これについては「映画伝来 シネマトグラフと明治の日本」に詳しいので、興味ある方は一読をおすすめする。

 世界各地で撮影されたフィルムは、リュミエール社と契約をした技師が撮影したものである。日本を撮影したフィルムもコンスタン・ジレルとガブリエル・ヴェールという2人の技師が撮影したものだ。しかし、同じ主題の作品が多く見られる。世界各地の独特のものを撮影してくるという基本方針はあったのかもしれない。

映画伝来―シネマトグラフと〈明治の日本〉