ヨーロッパの映画興行(1907)

 ヨーロッパの映画興行は、都市に常設の映画館が出来ていたとはいえ、露天興行もまだ盛んだった。その露天興行に打撃を与えたのが、パテ社の映画販売からレンタルへの移行である。それまで買い取ったフィルムを何年遅れであっても使用を繰り返したり、使い古したら売却したりすることができたが、レンタル制になることでできなくなってしまったからだ。

 露天興行者たちは、パテ社以外からフィルムを購入した。だが、他の映画会社もレンタル制へと移行していき、以後、露天興行は衰退していくこととなる。

 そんな動きに対応するかのように、パリに世界最大の映画館が開業している。6000席の座席数を誇ったこの映画館は、「ゴーモン・パラス」という名称となる。

 イタリアではこのとき500の映画館があったといわれ、フランスを凌ぐ規模を誇っていた。イギリスにも300人を収容できる映画館があった。