ジョルジュ・メリエス作品集(1)

「PLAYING CARDS(UNE PARTIE DE CARTES)」(1896)

 リュミエール兄弟の「カード遊び」(1895?)と同じ構図、同じ展開の作品。メリエスの映画会社スター・フィルムのカタログ番号1番を飾る輝かしき作品である。メリエスにとっては習作だったのだろう。


「A TERRIBLE NIGHT(UNE NUIT TERRIBLE)」(1896)

 男がベッドに寝ようとしていると、巨大な虫がベッドに這い上がってくる。虫を退治した男だが、今度は小さな虫にまとわりつかれて眠れない。

 映像トリックは使われておらず、画面は固定で舞台を撮影するように撮られている。


「THE VANISHING LADY(ESCAMOTAGE DUNE DAME AU THEATRE ROBERT HOUDIN)」(1896)

 マジシャンが椅子に座らせた女性に布をかけて、女性を消してしまう。

 メリエスが初めてストップ・モーションのカメラ・トリックを使ったとされる作品である。街路を撮影していたところトラブルで中断しなければならなくなり、しばらくしてからカメラを回したフィルムを現像してみると、あらゆるものの位置が瞬時に変わっていたことからメリエスが思いついたと言われている。このエピソードから、メリエスがストップ・モーションを初めて使ったように勘違いされていることも多いが、エジソン社が撮影した「メアリ女王の死刑」(1895)ですでに使われている。

 まだ技術的に甘く、ストップ・モーションされた部分がはっきりと分かってしまっている。

 特筆すべきは、マジックの出し物と同じように撮影されていることだ。マジシャン(演じるのはメリエス)が登場して、カメラに向かって挨拶。最後にはカーテン・コールまである。元々、マジシャンとして活躍していたメリエスにとって、舞台上での人を楽しませる仕草、タイミングなどはお手のものであり、他の監督たちにはないメリエスならではの魅力を、このスタイルで放っていくことになる。

 マジックの舞台のように撮影しながら、舞台ではできない映画ならではのトリックを使っていることをメリエスが意識していると思われる部分がある。それは、消える女性が座る椅子の下に紙を敷く部分だ。この手のマジックでは、床が開くようになっていて、そこから女性が抜け出て消えるというパターンが多い。おそらく、マジックの観客の中には気づいていた人もいたことだろう。メリエスはあえて紙を敷くことで、そうではないことを示して、観客に映画ならではの驚きを提供しようとしている。今の私たちは、ストップ・モーションを知っているため、幸か不幸か驚くことはない。


「DEFENSE D'AFFICHER」(1896)

 製作国フランス 英語題「POST NO BILLS」
 Théâtre Robert-Houdin製作 監督・製作ジョルジュ・メリエス

 壁にポスターを貼ろうとする2人の男がケンカになる。メリエスの代名詞である映像トリックは使われていない


「LE MANOIR DU DIABLE」(1896)

 製作国フランス 英語題「THE HAUNTED CASTLE」
 スター・フィルム製作 監督・製作・出演ジョルジュ・メリエス

 古城を舞台に、吸血鬼が古城へやってきた人間を脅かす。

 初の吸血鬼映画と言われている作品だが、吸血鬼であることは明示されてはおらず、コウモリが人間に姿を変えるシーンなどで暗示されている。

 ストップ・モーションを使った入れ替えの映像トリックを、ホラー的に仕上げた数多くのメリエスの作品の中でも最初期のものだ。次々に人や物が姿を変えるテンポの良さや、ゆっくりと飛ぶコウモリ(ピアノ線で吊られている)から始まる導入の雰囲気作りなど、メリエスの舞台仕込みの確かな演出ぶりを見てとることができる。


「A NIGHTMARE(LE CAUCHEMAR)」(1897)

 ある男が寝ていると、そこに美しい女性が現れる。だが、その女性は猿に変身してしまう。

 ストップ・モーションというテクニックを覚えたメリエスは、美しい女性に言い寄ろうとすると他のものに変わってしまうという内容の作品を多く作る。メリエスが好きなのだろうし、分かりやすいため観客も楽しめたのだろう。


「THE HAUNTED CASTLE(LE CHATEAU HANTE)」(1897)

 ある貴族が城にやって来ると、幽霊や鎧の男などが突如として姿を現し、貴族を驚かせる。

 メリエスはストップ・モーションを恐怖と結びつけている。今見て怖いわけではないが、マジックの舞台でも幻燈などを利用して恐怖の演出も行ったメリエスが、映画というメディアと自らの経験を活かして、様々なジャンルに挑戦しているのを見て取ることが出来る。

 私が見たDVDでは、貴族の衣装や背景の一部に赤の着色がされていた。メリエスは着色の分野でも先駆けの1人だった証拠の1つである。


「THE SURRENDER OF TOURNAVOS(LA PRISE DE TOURNAVOS)」(1897)

 市街戦が行われている。壁の向こう側から兵士たちがやって来て、防衛していた兵士たちは撤退する。

 メリエスといえば、カメラ・トリックを使った非現実的な作品で知られるが、現実的な作品も多く作っている。この作品は、おそらく実際に起きた出来事を再現したものと思われるが、元の出来事が何かは分からない。

 この頃、他の映画製作者たちも実際の出来事を再現した作品を多く作っていた。機材的な制約などから、実際の出来事を撮影するのが容易ではなかったためだ。それらの作品の中には、本物の映像と観客に勘違いされるものもあったという。

 メリエスはセットで撮影しているため、この作品はよく出来た実際の出来事を再現した舞台を撮影したものという印象が強い。


「BETWEEN CALAIS AND DOVER(ENTRE CALAIS ET DOUVRES)」(1897)

 ドーバー海峡を渡る揺れる船の上で、人々が悪戦苦闘している。

 船が大きく左右に揺れている。カメラを動かすのではなく、おそらく舞台そのものを揺らしているようだ。とことん舞台人だったメリエスは、カメラを動かすという発想がなかった。

 船には「Robert Houdin star Line」と大きく表記されている。「Robert Houdin」とは、メリエスが所有していたマジックの劇場(当時メリエスは、劇場で映画を公開していた)の名前である。著作権が確立されていなかった当時は、盗作が多く行われていた。それに対しての対抗手段として、背景などにこうした刻印がされている例は他の会社の作品でも多く見られる。


「THE BEWITCH INN(L’AUBERGE ENSORCELEE)」(1897)

 ホテルにやって来た男だが、座ろうとした椅子が消えたり、脱いだ服が飛んでいったりしてしまう。

 ストップ・モーションによって物を消したり、他の物と入れ替えたりといったトリックのほかに、物が動くというトリックもメリエスは多用している。また、宿屋に泊まりに来た男が不思議な目に遭遇するという内容は、この後メリエスが何度か使うパターンだ。


「AFTER THE BALL(APRES LE BAL) 」(1897)

 舞踏会から帰ってきた女性が、メイドに服を脱がしてもらい、水浴をする。

 ボディ・スーツを着た女性が後姿で半裸体を見せ、これは映画で最初のヌードとも言われる。あまり知られていないが、メリエスはこの分野でも先駆者であったのだ。

 黒い灰のようなものを身体にかけて、水を表現している。本物の水だと見栄えがしないと判断したためか、舞台を濡らしたくなかったためだろう。ちなみに、ヌードを見せる女性は当時のメリエスの愛人だったという。


「L'HALLUCINATION DE L'ALCHIMISTE」(1897)

 製作国フランス 英語題「AN HALLUCINATED ALCHEMIST」
 スター・フィルム製作 監督・製作ジョルジュ・メリエス

 錬金術師の元に怪物が現れ、クモなどに変身する。

 ストップ・モーションを使って様々な変身を見せてくれる。中世の実験室を描いた美しい書き割りや、クモの体の部分に人間の顔が浮かんだりといったキッチュな造形はメリエスならではだ。


「SUR LES TOITS」(1897)

 製作国フランス 英語題「ON THE ROOF」
 スター・フィルム製作 監督・製作・出演ジョルジュ・メリエス

 屋根の上(セット)で、泥棒と警官が追いかけっこをする。

 メリエスと言えば映像トリックを使った作品が有名だが、追っかけコメディとなっている。固定カメラで舞台を撮影しており、非常に舞台的だ。


「BOMBARDEMENT D'UNE MAISON」(1897)

 製作国フランス 英語題「THE LAST CARTRIDGES」
 スター・フィルム製作 監督・製作ジョルジュ・メリエス

 ある屋敷に逃げ込んだ戦闘中の部隊だが、砲撃により兵士の1人がやられる。

 当時は戦争を再現した作品が人気を呼んでおり、この作品もその1つと思われる。一見メリエスらしくない作品だが、砲撃のシーンではストップ・モーションによる映像トリックが使われている。


「COMBAT NAVAL EN GRECE」(1897)

 製作国フランス 英語題「SEA FIGHTING IN GREECE」
 スター・フィルム製作 監督・製作ジョルジュ・メリエス

 軍艦の甲板から敵を狙うが、敵から砲撃を受けて船員がやられてしまう。

 この作品も当時人気のあった戦争を再現した作品の1つだが、舞台的な演出でリアリティには欠ける。


「幾つもの頭を持つ男」(1898 1分)

 上映時間はわずか50秒。メリエス演じる男が、首をはずしてテーブルにいくつも並べるというトリック映画。私が見たDVDのピアノが映像にぴったりとはまっていたこともあり、軽快で楽しい一篇だった。トリックはマスクと二重露出を使ったものであることは一目でわかるのだが、奇術師として鳴らしたメリエスの軽快な動きがそんなことをなど無関係に楽しませてくれる。

 50秒というと、リュミエール兄弟の作品集とほぼ同じ長さなのだが、見る者を驚かせ、楽しませると意図という意味で、この作品の50秒はリュミエール兄弟の作品とは比べ物にならないくらい濃密だ。


「DIVERS AT WORK ON THE WRECK OF THE “MAINE”(VISITE SOUS-MARINE DU MAIN) 」(1898)

 3人のダイバーが、沈没した船で救助作業を行っている。

 “MAINE”は、1898年にハバナ湾で爆発して沈没し、米西戦争のきっかけとなった戦艦メイン号のことである。メリエスが、そのニュース性を利用して作った作品であり、メリエスの商魂を垣間見るようだ。

 作品は海底での救助を描いているため、ゆったりとしている。ここで使われている技術は、二重露出である。魚が泳ぐ水槽を撮影した後、さらにセットで演じられる救助の様子を撮影している。これによって、海の中であることを表現することに成功している。


「PANORAMA FROM TOP OF A MOVING TRAIN(PANORAMA PRIS D’UN TRAIN EN MARCHE)」(1898)

 走る列車の上に据えられたカメラが捉えた街並みを撮影している。

 メリエスのイメージとは遠い、屋外で撮影された作品。動いたものから撮影された作品は当時多く作られており、特に列車を使ったものは多い。

 作品としては正直どうということはないが、メリエスが流行を意識して、こうした作品も撮っていたことは面白い。結局メリエスは、こちらの方ではなく、舞台的な作品に磨きをかけていく道を選ぶ。


「THE MAGICIAN(LE MAGICIEN)」(1898)

 マジシャンが登場し、いろんなものや人を登場させる。

 ストップ・モーションを使っての消失や入れ替えを、これまでに作られた作品以上のスピードで見せる。さらに、ストップ・モーションに加えて、マスクを使っていると思われる部分もある。花瓶から女性が上半身を出しているのがそれで、下半身はマスクをかけて見えないようにしていると思われる。

 メリエスは同じタイプの作品でも、工夫を忘れていない。


「THE FAMOUS BOX TRICK(ILLUSIONS FANTASMAGORIQUES)」(1898)

 マジシャンが子供と箱を使って様々なマジックを見せる。

 この作品の最も面白かったところは、メリエス演じるマジシャンが斧を子供の頭に振り下ろすと、ストップ・モーションを使って子供が2人に分かれるところだ。映像トリックそのものに加えて、その使い方にも工夫が凝らされている。テンポもよくて、楽しい。


「ADVENTURES OF WILLIAM TELL(GUILLAUME TELL ET LE CLOWN)」(1898)

 ピエロがマネキンの頭に向かってウィリアム・テルのように矢を放とうとすると、マネキンが動き出す。

 チャールズ・チャップリンの「サーカス」(1928)でも登場するが、頭に乗せたリンゴを食べてしまって、矢を放てないという「ウィリアム・テル」と呼ばれるコントがあるという。この作品は、それをメリエス流にアレンジした作品とも言える。

 誰もが知っている題材は、当時観客を呼ぶために有効な方法だったことだろう。メリエスの映画人としては、冴えている。


「THE ASTRONOMER’S DREAM(LA LUNE A UN METRE)」(1898)

 天文学者が、月に襲われて食べられてしまう夢を見る。

 後に映画史に名を残す「月世界旅行」(1902)を作るメリエスによる、「月世界旅行」のプロローグともいうべき作品。当時作られたメリエスの作品の中でも長い(3分強、通常の作品は1分程度)ことからも、メリエスが力を入れて作った作品であることが伺える。また、メリエスの月への思いも感じ取れる。

 力を入れているのは時間だけではない。背景の書き割りの見事さや、天文学者を襲う月の造形にも、これまでにはない気合いが入っている。

 ストップ・モーションを使った消失、入れ替えテクニックももちろん使われており、テンポの良さも見事。1898年当時の代表作の1つと言えるだろう。


「THE TEMPTATION OF SAINT ANTHONY(TENTATION DE SAINT ANTOINE)」(1898)

 聖アントニウスが、突然現れる何人もの女性たちの誘惑に悩まされる。

 聖アントニウスは、3世紀から4世紀にかけて生き、修道士生活の創始者と言われる人物である。あらゆる苦行を行い、誘惑に立ち向かった人物として知られ、その姿は『聖アントニウスの誘惑』と題された様々な絵画として残されているという。

 この作品は、メリエスによる映画での『聖アントニウスの誘惑』である。といっても重々しさはない。美しい女性たちが登場しては、消えていく様子がテンポよく描かれている。

 メリエスは宗教的題材にも手を伸ばし、人々の興味を引こうとしているかのようだ。これが的を得ているのは、映画初期においてはこの後多くの宗教映画が作られることからも分かる。キリスト教圏で、キリスト教にまつわる有名な話を映画化することは、大きな興行的価値があったのだ。


「THE CONJURER(L’ILLUSIONNISTE FIN DE SIECLE)」(1899)

 マジシャンが、アシスタントの女性と入れ替わる。

 メリエスお得意のストップ・モーションを使った入れ替えをテンポよく見せる。この作品では、テーブルの上からジャンプして、その途中で入れ替えが行われる。技術的により難しいことに、メリエスが挑戦していることが分かる。


「THE DEVIL IN A CONVENT(LE DIABLE AU COUVENT)」(1899)

 女子修道院に悪魔が現れ、修道女たちを怖がらせる。

 この頃のグリフィスは、1分程度のちょっと楽しめる作品のほかに、この作品のように3分程度の少し長めの作品も撮っている。

 お得意のストップ・モーションを使った入れ替えに、せり上がる舞台といった舞台装置も駆使し、巨大な顔(悪魔?)といったセットにも工夫を凝らされた作品となっている。

 また、悪魔が登場し、人々を怖がらせるが、最後には退治されるというストーリーを持っている点も特徴的だ。


「THE PILLAR OF FIRE(LA DANSE DU FEU)」(1899)

 悪魔がかまどで火をおこすと、女性が現れて蛇踊りを踊る。

 エジソン社の初期の作品で多く見られた蛇踊りを、この作品でも見ることができる。その意味で、映画初期に多く見られたステージの出し物と、メリエス流の映像トリックが融合された作品であると言える。

 染色と着色が行われている点も特徴的だ。薄い赤に染められた画面は、蛇踊りを炎の柱のように見せるのに一役買っている。


「THE MYSTERIOUS PORTRAIT(LE PORTRAIT MYSTERIEUX)」(1899)

 男が持ってきた巨大な額縁の中に、当の男の姿が浮かび上がり、動き出す。

 舞台上でマジックを演じているように作られた作品。このタイプの作品も多い。

 特徴は、他の同じような作品と比べてテンポがゆったりとしていることだろう。ものすごいスピードで数分間をエンターテインメントで満たす作品もいいが、この作品のようなゆったりと楽しませてくれる作品もよい。


「THE DREYFUS AFFAIR(L’AFFAIRE DREYFUS)」(1899)

 19世紀末から20世紀始めのフランスで起こった、フランス軍ユダヤ人中尉に対する冤罪事件である「ドレフュス事件」をモチーフにした作品である。

 メリエスといえば、ファンタジーやトリック映画で有名だが、この作品のように実際の出来事を扱った作品もある。しかも、ドレフュス事件は当時まだ進行中だったという点は、注意する必要があるだろう。ドレフュスに対する意見はフランス国内を二分しており、そんな状況下で敢えてドレフュス擁護の立場からメリエスは映画を製作している。メリエスの社会的立場を明確にしているという点で、メリエスは社会派映画作家の先駆けでもあるのだ。そんな状況で作られたこの作品は、間もなく上映禁止となっている。理由は、ドレフュスを支持する人としない人との間で喧嘩が起こったからである。

 作品の内容に目を向けると、これまでにない15分弱に渡る大作となっている。といっても、正確にはドレフュスに関連する1分程度の作品が、11本に渡って作られたというのが正確なところだ。メリエスは、11本の中から個別に選んで買ってもらっていたという。

 そのため、11本に分けられた作品を単純に1本につなげたとしても、意味ははっきりと分からない。当時のフランスの人々は、タイトルを見れば何のことを言っているのかが分かり、それについての映像であるということが認識できただろうが、事件の概要しか知らない私にとっては、途中で起こる自殺や銃撃事件が一体何なのかがわからなかった。一方で、現実をモチーフにしていることもあり、裁判所と思われるシーンでは、入り乱れる群集に他のメリエス作品にはないリアリティを感じた。

 ドレフュス事件は、物語を語る手段として映画を使うという意味では、未熟な作品といえる。だが、社会的意見を発表する手段として映画を使って見せたところに、メリエスの映画人としての一側面を見ることができる。


「CINDERELLA(CENDRILLON)」(1899)

 シンデレラの映画化作品。

 5分程度の作品で、物語はぐっと縮められている。カボチャが一瞬で馬車になったり、貧しい身なりのシンデレラが一瞬できれいなドレス姿になったりといったマジックは、メリエスの手法にぴったりと合う。後半は、踊る女性たちによって盛り上げ、ピークに達したところで終わる。メリエスの手法と演出は、おとぎ話にぴったりとはまっている。

 これまで、ワンシーン・ワンショットの短い作品ばかりだったメリエスは、この作品で複数のシーンをつなげて1つの映画として作り上げている。そして、シーンとシーンの間はオーバーラップによって処理されているのだが、場所の移動にオーバーラップを使用した最初の映画とも言われている。


「THE MYSTERIOUS KNIGHT(LE CHEVALIER MYSTERE)」(1899)

 男が、黒板に書いた騎士の首を取り出すと、騎士の首はしゃべり出す。

 マスクと二重露出を使ったテクニックで、メリエスは首を使ったコメディ的作品を多く残している。この作品もその1つだが、騎士を使って他の作品とは異なる雰囲気を出そうとしているようだが、あまりうまくいっていない。剣に首を突き刺してみせるシーンくらいが、騎士という設定を活かしていると言える。


私が見たメリエスの映画が見られるDVD・ビデオ
「THE MOVIE BEGIN」(アメリカで発売されているDVD)
「Georges Melies: First Wizard of Cinema (1896-1913)」(アメリカで発売されているDVD)
「フランス映画の誕生」(ジュネス企画
本「死ぬまでに見たい映画1001本」の付録
死ぬまでに観たい映画1001本