ジョルジュ・メリエス作品集(5)

「地獄のケーキ・ウォーク踊り」(1903年)

 「ケーキ・ウォーク踊り」とは、ミュージックホールの演目として、当時フランスで大流行した踊り。元来、黒人奴隷が主人の為に焼いたケーキを運ぶ様からヒントを得てそれが変化して出来上がった踊りのこと。

 リュミエール社の作品にもケーキ・ウォーク踊りを扱った作品があるが、メリエスとは少し違う。メリエスは舞台を地獄にして、登場人物は悪魔(と女性の住人)としている。

 現れては消えるというおなじみのトリックを多用することでテンポよく映像は進み、メインはメリエス自身が演じている悪魔が踊る、台の上でのケーキ・ウォーク踊り。ここでは、すべって転んだ拍子に足や腕が離れてしまうが、踊り始めると離れた脚や腕も踊るというマスクと二重露出を使った楽しいトリックを見せてくれる。

 ストーリーなどないに等しい。テンポのよいレビューを映画ならではのトリックを使って楽しく仕上げた一篇といえる。


私が見たメリエスの映画が見られるDVD・ビデオ
「THE MOVIE BEGIN」(アメリカで発売されているDVD)
「フランス映画の誕生」(ジュネス企画
本「死ぬまでに見たい映画1001本」の付録
死ぬまでに観たい映画1001本