ジョルジュ・メリエス作品集(13)
「中国の魔法使い(Tchin-Chao: The Chinese Conjurer)」(1904)
奇妙な中国人が傘の中から色々な物を出現させる。提灯を犬に変えたり女に変えたり、オーヴァーラップ合成で瞬間移動を見せたりする。
中国の扮装をする理由はまったくない。人物の瞬間移動の奇術を最初は人物に箱を被せて行い(普通のやり方)、次に箱の中身が見えるようにして行う。「実際の奇術ではできないことが、映画でも出来ますよ」という、映画のトリックの講座を聞いているかのようだ。しかし、トリック自体は他の作品の焼き直しで、テンポもそれほどよいとは思えず、楽しい作品とは言えない。
「The Cook in Trouble」(1904)
訪れた老人を忙しいコックが邪険に扱ったため、魔法によって現れた悪魔たちに邪魔される羽目になる。
ストップモーションを使って、調味料の入った箱や棚などあらゆるところから悪魔や人が現れては消えていくという模様がひたすら続く。途中からストーリーもへったくれもなくなり、混沌に満ちた追いかけっこがメリエス流のトリックを駆使して行われる。
トリックをうまく駆使したというよりは、トリックを混沌へと導いている点が特徴的な作品といえるだろう。
私が見たメリエスの映画が見られるDVD・ビデオ
「THE MOVIE BEGIN」(アメリカで発売されているDVD)
「フランス映画の誕生」(ジュネス企画)
本「死ぬまでに見たい映画1001本」の付録