ジョルジュ・メリエス−映画を見世物に向かわせた男(10)

 人気を失ったメリエスの製作する作品の本数は減っていき、やがて破産する。その後、かつてのライバルだったパテ社に誘われて映画を製作するものの復活とはいかず、第一次大戦の勃発も追い討ちをかけて、完全に映画製作から離れていくことになる。

 そして、メリエスはモンパルナス駅のおもちゃ屋で働くこととなる。

 と書くと、絶望的なまでに暗い晩年のように思われるが、そこまでではなかったようだ。メリエスの孫が書いたメリエス伝(「魔術師メリエス」)によると、確かに裕福ではなかったが、決して不幸というわけでもなかったらしい。

 映画の面でも、製作は行うことは出来なかったが、かつての功績を称えられフランス政府から勲章を授与された。シネマテーク・フランセーズの主宰者であるアンリ・ラングロワらと親交を深め、特集上映が行われて再評価されたりもした。ほとんど誰にも省みられず、家族もいなかったグリフィスと比べて、死後に再評価され、家族が側にいたメリエスは幸福な人物だったといえるかもしれない。


私が見たメリエスの映画が見られるDVD・ビデオ
「THE MOVIE BEGIN」(アメリカで発売されているDVD)
「フランス映画の誕生」(ジュネス企画
本「死ぬまでに見たい映画1001本」の付録
死ぬまでに観たい映画1001本

ジョルジュ・メリエスの伝記
魔術師メリエス―映画の世紀を開いたわが祖父の生涯