ゴーモン社−フランス

 パテ社と並ぶフランスの映画会社であったゴーモン社は、この年1万平方メートルに及ぶ巨大スタジオを完成させ、「世界最大のスタジオ」と喧伝した。

 ゴーモン社では、ルイ・フイヤードが筆頭となって演出を担当していた。フイヤードは脚本を書かず、即興で早撮りだったと言われ、撮影所に厳格な規律を持ち込み、レオン・ゴーモンの忠実な副官だったと言われている。製作本数が増大すると、俳優は1年契約で雇われ、フイヤードは優れた俳優集団を作り、フイヤードが養成した監督たちが指導を行った。また、フイヤードは劇作家になることを望んでおり、映画の観客を軽蔑しながら売文家のように脚本を製造したとも言われている。

 フイヤードと同じくゴーモン社の社員だったエミール・コールは、昨年製作されたストップモーションで製作された映画「お化けホテル」(1907)に影響を受け、フォントーシュという人物を主人公にしたアニメーション映画シリーズの製作を開始している。登場人物たちは、極度に簡略化され、線で描かれていた。

 またコールや、逆回転を使用した最初の成功作である「かぼちゃ競争」(1908)や、二重露出、クランク回転が使われている「スキー」(1908)といった作品を製作している。コールは独力で仕事をしたといわれている。