独立系映画会社による引き抜き合戦

 人材確保による引き抜き合戦は、独立系の映画製作会社同士でも行われるようになった。

 ハリー・E・エイトケンとジョン・R・フロイラーによって設立されたマジェスティック社は、昨年(1910年)にカール・レムリのIMP社が引き抜いたばかりのメアリー・ピックフォードを引き抜いている。マジェスティック社は、IMP社がピックフォードに支払っていた週給125ドルの倍額以上である275ドルをピックフォードに提示したのだった。しかし、ピックフォードは元々所属していたバイオグラフ社からさらに高い金額を提示されて移籍していくことになる。

 また、ピックフォードとともにIMP社に移っていたトマス・H・インスは、IMPの俳優や撮影技師を伴ってバイソン社に移籍している。



(映画本紹介)

無声映画芸術への道―フランス映画の行方〈2〉1909‐1914 (世界映画全史)

無声映画芸術への道―フランス映画の行方〈2〉1909‐1914 (世界映画全史)

映画誕生前から1929年前までを12巻にわたって著述された大著。濃密さは他の追随を許さない。