フランス 連続映画の流行

 1908年にも流行した連続映画(ヴィクトラン・ジャッセの「探偵王ニック・カーター」、デンマークのノーディスク社の「ラッフルズの脱獄」など。2,3本の連続ものだった)だが、この年、再流行している。

 エクリプス社は「ナット・ピンカートン」シリーズを公開。ナット・ピンカートンとは、私立探偵事務所のアメリカ代理店の創立者であるが、現実とはまったく関係がなかった。

 また、エクレール社はヴィクトラン・ジャッセが監督した「ジゴマ」(1911)を発表している。赤い頭巾を被った悪漢と探偵の追いつ追われつの物語で、大人気を博した。「ジゴマ」の後、エクレール社は実際の犯罪者ボンノ一味をモチーフにした作品を製作するが、悪漢を主人公とした内容の映画の流行を阻止しようとした警察により上映中止とされている。

 「ジゴマ」を初めとしたフランスの連続映画は他国にも火をつけ、アメリカ、デンマーク、イギリスでも連続映画が作られるようになる。

 
(映画本紹介)

無声映画芸術への道―フランス映画の行方〈2〉1909‐1914 (世界映画全史)

無声映画芸術への道―フランス映画の行方〈2〉1909‐1914 (世界映画全史)

映画誕生前から1929年前までを12巻にわたって著述された大著。濃密さは他の追随を許さない。