フランス 喜劇映画

 文芸映画はあまり成功していなかったフランスだったが、喜劇映画が好調だった。
 マックス・ランデーは「キナ入り葡萄酒の犠牲者マクス」(1911)を自らの脚本により製作しており、傑作ととも言われている。ちなみに、ジョルジュ・サドゥールは「世界映画全史」の中で、ランデーの映画を次のように語っている。

「ランデーにおいて、チャプリンと同様に、すべては脚本、場面の演技、ギャグ、喜劇的才能に依存している。映画の技法は二義的であり、可能な限り単純である。すなわち、喜劇スターとその引立て役が重要なのだ」

 パテ社がコートダジュールに設立した喜劇専門の会社であるコミカ社でも、喜劇映画が製作されている。

 ドイツ系であるリトル・モーリッツは、1911年から12年にかけてコミカ社においてスターとして活躍した。モーリッツの作品は、ロメオ・ボゼッティが演出を担当おり、追っかけを得意としていた。「リトル・モーリッツ、ロザリーを誘拐す」(1911)といった作品が製作されている。

 
(映画本紹介)

無声映画芸術への道―フランス映画の行方〈2〉1909‐1914 (世界映画全史)

無声映画芸術への道―フランス映画の行方〈2〉1909‐1914 (世界映画全史)

映画誕生前から1929年前までを12巻にわたって著述された大著。濃密さは他の追随を許さない。