日本 映画会社が専属俳優制度へ

 映画の人気が高まり、映画館はそれまで劇場に舞台を見に来ていた観客を奪っていった。そのことを舞台側の人たちが快く思うわけがなく、東京劇場組合は映画に出演した俳優は使わないことを決議した。

 それまで、映画製作においては、1本ごとに俳優と契約していたが、この決議によって映画会社が専属で俳優を雇う流れへと向かっていった。また、エム・パテー商会が本郷座の座員を全員雇ったり、吉沢商店が真砂座の座員を全員雇ったりといったケースが起こり、劇場組合は自らの首を絞めることになった。劇場組合の決議も時勢に勝てなかったのだった。


(映画本紹介)

日本映画発達史 (1) 活動写真時代 (中公文庫)

日本映画発達史 (1) 活動写真時代 (中公文庫)

日本の映画の歴史を追った大著。日本映画史の一通りの流れを知るにはうってつけ。