フランス ゴーモン社の作品 1900年

「AVENUE DE L'OPERA」(1900)
 製作国フランス Société des Etablissements L. Gaumont 監督アリス・ギイ

 パリのオペラ通りの様子を、逆回しで見せる。

 映画草創期、有名な町並みの撮影は頻繁に行われていた。この作品は、そこに逆回しという新趣向を盛り込んでいる。逆に言うと、単純な町並みの撮影は飽きられており、工夫が必要だったのかもしれない。


「CHAPELLERIE ET CHARCUTERIE AUTOMATIQUES」(1900)

 英語題「AUTOMATED HOT-MAKER AND SAUSAGE-GRINDER」 製作国フランス
 Société des Etablissements L. Gaumont 監督アリス・ギイ

 2人の男が機械に動物や麦藁などを入れると、機械からソーセージや帽子が出てくる。

 当時のヴォードヴィルで演じられた出し物らしく、同時代の他映画会社の作品にも同じ内容のものがある。ただ、他社の作品がソーセージだけなのに対して、この作品では帽子も自動生成してくれる。


「CHEZ LE PHOTOGRAPHE」(1900)

 英語題「AT THE PHOTOGRAPHER'S」 製作国フランス
 Société des Etablissements L. Gaumont 監督アリス・ギイ

 カメラマンに写真を撮ってもらおうとする男。だが、男はじっとしていられず、カメラマンと揉める。

 当時多く見られたちょっとしたコントを撮影したもの。


「DANSE DES SAISONS」(1900)

 英語題「DANCE OF THE SEASONS: WINTER, SNOW DANCE」 製作国フランス
 Société des Etablissements L. Gaumont 監督アリス・ギイ

 雪が降る中踊る女性を撮影。

 黒バックに、偽物の雪が降らせて撮影されているという方法は、エジソン社のブラック・マリア撮影所内で作られた最初期の多くの作品を思わせる。


「LA CONCIERGE」(1900)

 英語題「THE LANDLADY」 製作国フランス
 Société des Etablissements L. Gaumont 監督アリス・ギイ

 子供たちが女性の家のベルを鳴らして逃げる。怒った女性は、その後やって来た男に間違って水をかける。

 当時多く見られた、ちょっとしたコントを撮影したもの。ちなみに、当時の映画で撮られたコントには「水」を使ったものが多い。液体で、常に姿を変える水は映像にはふさわしく、またずぶ濡れになるという展開に面白さもあり、一石二鳥の素材だった。


「CHIRURGIE FIN DE SIECLE」(1900)

 英語題「TURN-OF-THE-CENTURY-SURGERY」 製作国フランス
 Société des Etablissements L. Gaumont 監督アリス・ギイ

 手術で手や足を切り取られた男性。だが、医者の助手が手や足を再び男性にくっつける。

 ストップ・モーションで人形と人間をすり替える映像トリックで見せる。内容的には残虐なようだが、同時期に作られている作品でも、人形を人間に見立てた作品は、力任せに振り回せてみたりと残虐だ。ジョルジュ・メリエスの作品の影響も伺えるが、メリエスはあくまでもエンタテインメントとして明るい映画を作っていた。そう考えると、イギリスのブライトン派のブラック・ユーモア溢れた作品の影響の方が強いのかもしれない。


「LES FREDAINES DE PIERRETTE」(1900)

 英語題「PIERRETTE'S ESCAPADES」 製作国フランス
 Société des Etablissements L. Gaumont 監督アリス・ギイ

 部屋の中で踊る女性の元に、別の女性が現れて一緒に踊る。

 内容自体はヴォードヴィルの出し物を撮影したかのような内容で新鮮味はない。ラストで女性同士がキスをするシーンがあるが、同性のキスを撮影した最初期の例ではないかという指摘もある。ちなみに、私が見たバージョンは染色がされていたが、技術的には同時期の作品と比べてあまり高い方ではなかった。


「LES FREDAINES DE PIERRETTE」(1900)

 英語題「PIERRETTE'S ESCAPADES」 製作国フランス
 Société des Etablissements L. Gaumont 監督アリス・ギイ

 部屋の中で踊る女性の元に、別の女性が現れて一緒に踊る。

 内容自体はヴォードヴィルの出し物を撮影したかのような内容で新鮮味はない。ラストで女性同士がキスをするシーンがあるが、同性のキスを撮影した最初期の例ではないかという指摘もある。ちなみに、私が見たバージョンは染色がされていたが、技術的には同時期の作品と比べてあまり高い方ではなかった。


AU BAL DE FLORE」(1900)

 英語題「AT THE FLORAL BALL」 製作国フランス
 Société des Etablissements L. Gaumont 監督アリス・ギイ

 男女が舞踏会で踊る。当時有名だった舞台女優2人が男女に扮し、書割の舞踏会場で踊る。この作品も染色がされているが、技術的な質は高くない。


「LA FEE AUX CHOUX」(1900)

 英語題「THE CABBAGE-PATCH FAIRY」 製作国フランス
 Société des Etablissements L. Gaumont 監督アリス・ギイ

 キャベツ畑に現れた妖精が、キャベツから赤ん坊を取り出して見せる。

 ジョルジュ・メリエスが得意としていた夢幻劇(ファンタジー)ものと言えるが、この作品ではメリエスが多用した映像トリックは使われておらず。キャベツから赤ん坊を取り出す妖精の優しげな姿が見ものになっている。その意味では、ギイのオリジナル要素が多分に含まれた作品と言えるかもしれない。