アメリカン・ミュートスコープ・アンド・バイオグラフ社 1901年

「DEMOLISHING AND BUILDING UP THE STAR THEATRE」

 アメリカン・ミュートスコープ・アンド・バイオグラフ社(後にバイオグラフ社となる)の作品。

 「STAR THEATRE」の建物が解体される様子を4分に1度ごと撮影することによって、高速で解体されていくように見ることができる。

 タイトルでは、建築される様子も見ることができるようだが、実際に撮影されたフィルムは解体のみの様子。ただ、逆回しで上映されることもあり、その際にはまるで建築されていくように見えたという。

 この作品を見ていて、映画開発に大きな影響を与えたエチエンヌ・マレーを思い出す。生物の動きを研究する延長で映像を開発しようとしたマレーは、私たちが見るのと同じように撮影された映像には学問的な意義を見出さなかった。だが、マレーはコマ落としやスロー・モーションを使うことで生物の研究に活かせるかもしれないとは考えた。

 ビルの解体の様子は生物学ではなく、エンターテインメントとして撮影されたと思われるが、今のように重機やダイナマイトを使うのではなく、人間たちがこつこつと解体していく様子を今でも見られることは、少なくとも「建物の解体の歴史」の記録にはなっている。



(DVD紹介)

More Treasures From American Film Arch 1894-1931 [DVD] [Import]

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 初期アメリカ映画の貴重な作品群を見ることができるDVD。うれしいことにリージョン・フリー。