イギリス ジェームズ・ウィリアムソンの作品 1901年(3)
「FIRE!(火事だ!)」
ジェームズ・ウィリアムソンによる作品。火事を発見した警官が消防隊に連絡、出動する消防隊、疾走する消防隊、脱出することができない人を救出する消防隊(室内)、救出される人々(屋外)といった構成になっている。
編集によって一連の流れでストーリーが展開される最初の映画とも言われている。当時としては新しかったのだろうが、今見ておもしろいかというと、そうでもないように思える。その最大の理由は、あまりにも今の主流となっている話法と同じだからだ。もちろん、それはこの作品の先駆性を意味するのであるが、逆におもしろさの面でいうと凡庸に感じられてしまう。ある意味、逆説的で、不幸な作品といえるかもしれない。
知名度ではこの作品より低く、評価も低いであろう同時期のフェルディナン・ゼッカによる「ある犯罪者の物語」は、話の内容的にはたいしたことはないのだが、過去を思い出す人物と思い出される過去が同一の画面で描かれるという、現在ではあまり使われていない手法によって、おもしろさが感じられる作品だった。後世に与えた影響などを抜きにすると、おもしろさでは「ある犯罪者の物語」に軍配を上げたくなる。
とはいえ、火事でパニック状態になる男性が、絶望で倒れてしまった瞬間に消防隊員が助けに来るという絶妙なタイミングは作劇上のうまさを感じさせる。
この作品は、後にアメリカでエドウィン・S・ポーターが監督する「アメリカ消防夫の生活」(1903)に影響を与えたという。
(ビデオ紹介)