フランス ゴーモン社の作品 1902年

「LINA ESBRARD, DANSE SERPENTINE」(1902)

 英語題「SERPENTINE DANCE BY LINA ESBRARD」 製作国フランス
 Société des Etablissements L. Gaumont 監督アリス・ギイ

 女性が、映画草創期に多く撮影された「蛇踊り」と言われた当時流行のダンスを踊る。エジソン社など他社のみならず、ギイ自身も複数の「蛇踊り」を撮影している。多く見てきた「蛇踊り」だが、この作品の踊りは、蝶のように横に広げるだけのところを竜巻のように縦にスパイラル運動を見せたり、自身の体に巻きつけたりと、ちょっと違って新鮮だった。


「SAGE-FEMME DE PREMIERE CLASSE」(1902)

 英語題「MIDWIFE TO THE UPPER CLASS」 製作国フランス
 Société des Etablissements L. Gaumont 監督アリス・ギイ

 女性が赤ん坊の人形を探していると、店員がキャベツから生まれた赤ん坊をお薦めしてくる。

 途中でカットが割られて場面転換が行われている。柵に作られた扉のこちら側と向こう側の2ショットだけであるが、徐々に映画が1ショットで撮影されただけのものから移り変わりつつあるのが分かる。

 1900年に作られたと言われる同じギイ監督の「LA FEE AUX CHOUX」(1900)も、キャベツから生まれる子供が登場する作品である。他社の作品には見られないことから考えると、ギイが気に入っていた主題だったのかもしれない。

 店員が黒人の赤ん坊を女性に進めると、女性が目を背けて嫌がるシーンがある。露骨な人種差別だが、そうした描写が当然のものだった時代だったということが分かるという点でも、記憶に残すべき作品である。


「INTERVENTION MALENCONTREUSE」(1902)

 英語題「AN UNTIMELY INTRUSION」 製作国フランス
 Société des Etablissements L. Gaumont 監督アリス・ギイ

 喧嘩をしている夫婦の元に、お手伝いの女性がやって来て、巻き添えを食ってしまう。

 当時多く作られていた、ちょっとしたコントを撮影したもの。


「MISS DUNDEE ET SES CHIENS SAVANTS」(1902)

 英語題「MISS DUNDEE AND HER PERFORMING DOGS」 製作国フランス
 Société des Etablissements L. Gaumont 監督アリス・ギイ

 1人の女性と犬によるショー。タイトルに名前があるくらいだから、有名なショーだったのかもしれない。